輪廻
「輪廻」(2005 日 清水崇監督)96分
皆さんがお住まいの町にも必ず存在するいわくつきの廃墟。バブルの残骸や事件がらみなど由緒はさまざまでしょうが、こういう場所はユーレイの吹き溜まりとなりやすく、浮かばれない霊が夜な夜なつどって人類へのイヤガラセ計画で盛り上がっているそうです。オソロシイですね(笑)。さて、本作は35年前ドクター大森なるキチガイが妄想にとりつかれたすえホテルで11人を殺しまくったというウソくさい事件にまつわる心霊譚ですが、いつも以上に精彩を欠く清水ファンタヅーにあくびを催すこと数十回、話が進行するにつれてどうでもよくなる典型的なダメホラーでした。タタリ君そろそろ引退した方がいいんじゃないかね(笑)。呪われた事件の顛末と悪夢の再現を描きたかったようですが、はっきりいって廃墟のチカラを舐めていますね。映画撮影と殺人現場と主人公の幻覚が錯綜してわけのわからない状態になるだけで、おおむね失敗していると言えます。コワイ光景にコワイ音楽をかぶせたところで驚きも何もないし、CGもそれとわかった時点で半分失敗なのですから一周して逆手にとるぐらいの工夫が必要でしょう。その点、画面の隅をコソコソ動きまわる女の子と人形、ラストのババアの意味不明な行動は笑えました。とくに明らかに目の離れすぎたあの人形、最後の最後に人間的な感情を見せたのはいただけませんが、昨今の邦画ホラーのなかでも抜群のきもちわるさで、あれが主役だったらもう少しおもしろかったかも。まあぶっちゃけた話、ホラーなんて笑わせてナンボみたいなもんですからね。ホラー映画を観て「怖くない」と怒る人がいるが、怖いってどういう意味なのかと逆に問い詰めたい。観客は日常が崩壊する様を観たがっているわけだが、ホラーというジャンルを指定した時点で日常から遊離しているわけで、つまりウソくささが前提になっている。ぶっちゃけた話が、恐怖などという多義的で曖昧な観念を定義しきれるわけもない。だからあえて乱暴な言い方をすれば、本当に「怖い」ホラーなんて存在しないのである。ところで優香って微妙にむかつくな。これといった理由はないが、シバキたい。というかわたくしが昔キライだったやつになんとなく似ているのだ!(知るか!)ξ