さすらいの太陽
ヌートリアとカピバラの見分け方をご存知だろうか。どちらもネズミをでかくしてのっぺり顔にしたような南米原産の生き物だ。齧歯目(ネズミ目)に属しているので系統的には親戚なわけで、容貌はたいそう類似している。まず一番の違いとして、カピバラの方がでかい。よく世界最大のネズミとして紹介されているように、体重はヌートリアの5倍、50kgにも達する。ヌートリアの方は尻尾が長くて、よりネズミらしい姿をしているのが特徴。でかいネズミが日本の川に住み着いて云々、という話を聞かれた方もいると思うが、あれはヌートリアのこと。ヌートリアは戦時中に軍隊用の毛皮をとるため飼育された動物で、戦後放出され野生化したらしい。当然農作物を食い荒らしたりするので農家の目の敵にされている。まあ、それ以前になんか名前の響きがきもちわるいし、しかも意味がスペイン語で「カワウソの毛皮」だというから生まれつき不幸なのである。一方、カピバラはなぜか癒し系とまで言われて動物園の人気者である。しかも名前の意味はインディオの言葉で「草原の支配者」。うーん、同じ巨大ネズミなのにどうしてここまで扱いが違うのだろうか。というわけで、ネズミ版「さすらいの太陽」みたいな話であった。