ぼくは怖くない
「ぼくは怖くない(IO NON HO PAURA)」(2003 伊 ガブリエレ・サルヴァトレス監督)
毛むくじゃらのクモ 宙を飛ぶフクロウ
ぬるぬるのナメクジ 盲目のヘビ
子供たちの知らない生き物 闇を好む夜の生き物
太陽が輝く間に眠るものたちよ この少年の眠りを見守りたまえ
子供たちと自然をとらえた絵画的ショットの息をのむ美しさにまず圧倒されます。それらを包み込むパッヘルベルのカノンと背後でうごめくミステリアスな企み。これだけで幼年期映画として申し分ない条件をそろえており、しかも明らかに傑作の風格を漂わせていると言えます。が、それだけに後半のいたたまれなさとあまりにも弱すぎる結末は「もったいない」としか言いようがありません。好みの問題かもしれませんが、大人の現実の思惑が絡んだ時点で一挙に吸引力を失った気がします。子供の視点から描いた成長の物語という位置づけになるのでしょうが、純粋に幼年世界内の物語として完結させていれば「ミツバチのささやき」や「思春の森」に並ぶ幼年期・思春期映画の傑作になったのではないでしょうか。でもまあ私の嫌いな映画ランキング第19位ぐらいに堂々ランクインしている「スタンド・バイ・ミー」なんぞに比べたら遥かに優れています。それにしても、ブリーフ少年の初々しいパン○ラもなかなか風情があっていいですね。あと蚊取り線香とバービーちゃんもナイス。★★