センチネル
「The Sentinel」(1976 USA Directed by Michael Winner)邦題「センチネル」Region1 Closed-Captioned
すばらしい。「ローズマリーの赤ちゃん」「シャイニング」を思わせるニューロティックな設定と雰囲気。やはりこの時代のホラーは違いますね。正直お話はよくわかりませんでしたけども、要するにルチオ・フルチの「ビヨンド」みたいなもんだと思えばいいでしょう。ひと気のないアパートの高窓からジジイが四六時中じっと見下ろしている、という導入部からじりじりしたテンションが漲っており飽きさせません。そして要所要所のショック演出が巧い。というかフルチ大明神にも劣らぬエグイ描写の数々に思わずうなってしまいました。これは明らかに観客をびびらせようというコケオドシ全開のお化け屋敷ホラーであって、同じオカルト作品でも「エクソシスト」のようなリンダ・ブレアの奇行以外に見所のない退屈な作品とは大違いです。それだけに、私はむしろラストシーンが性急すぎていまいちでしたね。フリークスを悪魔に見立てる発想はおもしろいですが、イメージとしてはかなり無理があると思いました。障害や畸形の扱いに大らかなアメリカならではの発想かもしれませんね(嘆かわしいことに日本ではビデオすら発売されていない)。とはいえ説得力がないぶん、いかがわしさに拍車がかかって独特の空間を醸成していると思います。クチビルにきんたまをぶら下げた人には本当にびびりました。★★