僕の村は戦場だった
「僕の村は戦場だった(IVANOVO DETSTVO)」(1962 露 アンドレイ・タルコフスキー監督)
そ れ は 大 変 で し た ね 。
で済ませたくなるような話だが、そこは天下の変態詩人、ぬかりがありません。水滴音への強迫観念から始まりエロの萌芽に満ちた映像を見せ付けるおなじみのスタイルは既に確立されつつあり、息詰まるショットの連続に退屈しながらも魅了されます。ただ、総体的に言ってタルコフスキーらしくない映画である。タルぴょんらしいショットは散見せらるるものの、この当時はまだ観客全員を眠らせようという意識はなかったとみえ、台詞もアクションも音楽も過剰ぎみ。こんな騒がしい映画はタルコフスキーではないというのが正直な感想だ。それはともかく、この映画でもイワンの妄想に登場する少女(かわいい)が重要な役割を果たしているのは特筆すべきだろう。とりわけ上半身ハダカの美少女と砂浜で追いかけっこをするというあまりにも素晴らしいシーンで幕を閉じるのだが、このラストシーンにすべてが集約されていると思う。永遠に失われたものへの追慕を、現実と夢想の対比により痛ましく描きだすロリコフスキー監督の想いがひしひしと伝わってくる一品である。★1/2