The New Adventures of Heidi
「The New Adventures of Heidi」(1978 USA Directed by Ralph Senensky)Region Free 字幕なし?
おもしろい。タイトルから察しがつくとおり、児童文学の名作『ハイジ』の設定を借用して、アメリカで勝手に作られたTV映画である。舞台を現代に移して好き放題に脚色してあるのだが、その壊れ具合がなんとも型破りというかシュール。ミュージカル形式なのでハイジとジジイのデュエットというイカした趣向が堪能できるほか、ジジイが失明しかけているのを隠してハイジを山小屋から追い出そうとしたり、ハイジを木陰から窃視する謎の乞食がいたり、乞食を追いかけていったピーターが川に落ちて死にかけたり、よせばいいのにジジイまでピーターを探しに行って行方不明になったり、ジジイが死んだと思い込んだハイジがニューヨークの金持ち一家にもらわれてジジイのことなんか完全に忘れて都会暮らしを満喫したりと、アメ公センス全開の展開が非常に楽しいです。ハイジといえば寸胴の少女がアルプスの高原を跳ねまわっているイメージがありますが、そんな従来のハイジ像を完全に無視した作りがすばらしいですね。途中から完全にミュージカル・コメディーと化すに至っては、もはやスタッフがやけくそになったとしか思えません。さらにアルプスの山小屋に戻ると失明したジジイと乞食が手をとりあって現れ、乞食の正体は結局なんだかよくわからないのですが、ジジイはニューヨークで手術を受けて無事に視力を取り戻すのでした。めでたしめでたし。思わず最後までネタバレしてしまいましたが、そんな感じの実に心温まる作品なので、名劇ファンならずともぜひご覧になってくださいね。さて、もうひとつ特筆すべきは主演の名子役ケイティ・カーツマン、彼女の素朴でイノセントな可愛らしさがハイジにぴったりです。この点、1965年に西ドイツが製作したゴリラ少女主演の「アルプスの少女ハイジ」は目もあてられない有様でした。ケイティ・カーツマンといえば「大草原の小さな家」の『悪夢のオルゴール』で演じたどもりのスウェーデン少女が印象的ですけども、このほかに隠れた秀作「フォース・オブ・ジュライ/その日を忘れない」もよかったので大草原フリークの人は要チェックですね。というかこのジャケのガキは一体誰なんでしょう。こんなやつ一切出てこないのですが、不思議なこともあるものですね。あと、この低品質の廉価DVDですが、ワシのパソコンだとリージョンチェック不可と表示されてなぜか再生できんのだが、なぜですか。★★
歴代ハイジ映画一覧
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