チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁
「チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁(BRIDE OF CHUCKY)」(1998 米 ロニー・ユー監督)
意外に思えるかもしれないが、「チャイルド・プレイ」が傑作になりそこねた最大の原因はチャッキーであり、あのバカ人形が大暴れさえしなければ「チャイルド・プレイ」は格調高い傑作ホラーになっていたはずなのである。だいたいアンフレンドリー・チャッキーの邪悪に歪みきった顔は単にブサイクなだけであり 「人間」の本性むきだしに暴れまわる姿は退屈以外の何ものでもない。むしろ日常のなかにまぎれこんだ人形の固まった笑い顔が唐突にみせる気配の変転、そして殺しても殺してもなおボロボロになりながら起きあがる異形の迫力、つまり、あきらかに人間でないやつが人間みたいに「もう動き回りそう」なメタモルフォシスの予感と、あきらかに人間でなくなったやつが人間みたいに「まだ動き回っている」という彼岸感こそが恐ろしいのであって、あんな人間的な動機と表情で襲ってこられても怖くともなんともないのだ。で、どうやら世間はバカ人形が大暴れするのを本気で観たがっているらしく、シリーズ4作目にしてついに行き着くところまで行ってしまいましたね。1作目にあった叙情性や虚無感はどこへやら、こういういかにもふざけて作った映画はあまり感心しないのだが、まあ本気で怒るのも大人げないのでいちおう笑ってあげました。お約束のラストが本当にくだらない。★