GENESIS Film Archive 1972〜1977
「GENESIS Film Archive 1972〜1977」
2時間30分の狂気の祭典。ブートものなので画質音質はアレだが、「The Musical Box」と「Supper's Ready」がほぼフルレングスで各3パターン(フィル・コリンズのは除外笑)収録というマニア失禁もののお宝映像が満載。で、シアトリカル・プログレの雄でありながら今まで映像を目にする機会がなかったのだが、おもしろい。おもしろすぎる。コウモリとか落武者?とか全身タイツのノッポさんみたいなのとか、ジジイとか、なんかよくわからない多面体みたいなのとか、花とか("a flower?")、小道具チェンジのシーンも含めて笑えます。もちろん狂気のトリックスター、ピーター・ガブリエルの存在に9割9分依存しているわけだが、それもバンドとしての確固たる音楽性と高度な演奏力の裏付けがあってこそ。完璧なまでに構築されたものを内部から破壊する試みであると言えよう。とりわけ、ピーガブの暴走ぶりと周囲のメンバーの冷静さとの落差が笑える。キツネのお面をかぶった赤ドレスの男が声を裏返らせている隣で、ハケット先生が座って黙々とギターを弾いているという構図はおもしろすぎます。その意味で1977年の"SECONDS OUT"のプロモは明らかに異質だ。イカれたフロントマンが抜けた穴をドラマーのフィル・コリンズ(既に脱毛の兆候あり)が見事に埋めたわけだが、バンドとしていろんな意味でまともになった分、面白味は失われた。でもハケット先生が在籍しているまでのジェネシスは本当に素晴らしい。★★1/2