蔵の中
「蔵の中」(1981 日 高林陽一監督)
暗い、暗いよっ!(笑) 土蔵の中に隔離された肺病の姉、そこへ足繁く通う弟との禁断の秘め事、ってどこかで聞いたようなシチュエーションと絵に描いたような日本的情念、横溝先生もつくづくネクラな方ですね。弟はたぶんテレパスで、聾唖の姉の心をすべて読み取るのみならず、蔵の外で起こる情事を望遠鏡で覗きライブでアテレコするのだが、それを見るうちに姉と弟が互いに欲情するシーンなど松原留美子(♂)の不気味さとあいまって淫靡な空気に満ちています。ただ、日本人形・手毬・折り紙・待ち針といった和製アイテムが醸し出す負の情緒は「あらまほしき」おぞましさには違いないものの、オチも含めて予定調和の枠内にきっちり収まっているので、不快指数の高さのわりにいまいちショッキングでないのが残念。★