汚れなき悪戯
「MIRACLE OF MARCELINO(MARCELINO PAN Y VINO)」(1955 SPA Directed by Ladislao Vajda)原題「汚れなき悪戯」Region All English-Subtitled
あざとい。あざとさはあるが、ぬるくはない。「MARCELINO PAN Y VINO」(マルセリーノ・パンとワイン)という原題がいいな。市場のシーンとかなんかコメディっぽい感じもあっておもしろかった。後半は不条理ホラーの様相を呈してきてハラハラ。少年が屋根裏に飼っているものは何か?カツラをかぶったノーマン・ベイツの姿なんかをつい想像してしまうが、もちろんそんな映画ではない。もっとシュールで残酷な結末が待っていたのであった。無垢ゆえの、という感じで一見メルヘンチックに回収されるのだが、よく考えるとまるで救いがない。同じ宗教映画でも、安直な奇跡をこれみよがしに描いた「ポネット」のうさんくささとはほど遠く、さわやかな絶望に満ちている。★1/2