クライモリ
「クライモリ(WRONG TURN)」(2003 米・独 ロブ・シュミット監督)84分
ど田舎に迷い込んだアホ6匹がろくでもない目に遭うというお約束の展開。娯楽に徹した手堅い作りで、同様のホラーにありがちなカッタルイ描写を抑え、テンポよくアホが一匹また一匹と殺されていくので、こちらももっとやったれと安心してキチガイを応援できる。「面白く作られた映画」特有の物足りなさは否めないものの、観客を飽きさせまいとする気概は充分に伝わってくる。一方、必然的にキチガイの扱いが安易なのはやむをえない。今どきこんな判りやすいキチガイはよほど辺鄙な田舎でも捜さねばみつかるまいが、クールで都会的なインテリキチガイに飽きた我々にとって、汚くてブサイクで意味不明のオタケビをあげるデフォルメされた土着型キチガイは新鮮に映るのだろう。こういう映画の影響か、田舎に迷い込むと農民がクワをふりあげて襲ってくると信じている人が多いようだが、それは大きな間違いである。地方在住者の名誉のために断言するが、田舎の一軒家に住んでいる人=キチガイというのは偏見だ。中には本物も混じっているが、全員がキチガイというわけでは断じてない。どうぞ安心してお越しください。★