赤い殺意
「赤い殺意」(1964 日 今村昌平監督)150分
うーむ、かっこいい。セリフなに言ってんのがわがんねけっども、おもしろい。低俗なヨロメキドラマとは一味も二味も違う。日常的に夫や姑になじられコキつかわれている太目の主婦が、夫の留守中に強盗にいてこまされる。散乱した室内を呆然と見渡す春川ますみを俯瞰で捉えた回転ショット。不幸のごった煮のような境遇へ、さらなる不幸が追い討ちをかける。モタモタと嘆く春川ますみ。そしてそこになにかが目覚めていく。音楽もすばらしい。BGMのように使われるババアのヒソヒソ話と御詠歌。どんくさくて小太りの春川ますみは一歩間違えれば萌え萌え状態なのだが、そこは辛うじて踏みとどまらねばと思う。いちばんやらしいのが、少女時代の貞子が内腿に蚕を這わせて恍惚としているシーン。ババアにみつかり「メカケノコ!」とののしられながら折檻を受け蚕を握りつぶす。これが伏線となって、めちゃかっこいいラストにつながる。流れる御詠歌のアレンジがすばらしい。★★