ドニー・ダーコ
「ドニー・ダーコ(DONNIE DARKO)」(2001 米 リチャード・ケリー監督)
「君は心に厄介な問題を抱えて混乱しきっている。まったく検討違いの場所で答えを求めている」
「その通り。ほんと厄介な問題かかえてるし、すごい混乱してるし、それに怖いほんと。ほんと怖い。怖いけどわかってる。あんたって偽キリストだ」
たぶん悪くない映画なのだろう。おもしろくなりそうな要素が散りばめられている。サントラもいいと思う。だが観終わってどうも腑に落ちないというか、決定的になにかが足りない気がする。主人公が少しも不幸そうに見えないのである。ドニーは情緒に問題があって始終何かにいらついているようだが、結局ものわかりのいいオリコウさんにしか見えない。別に必死になる必要もないじゃん、深刻ぶりやがってと思ってしまう。根本的なところで共感できないので、作品の偽善くささが鼻について、技巧が作為に、抒情が感傷にかんじられる。ていうかこれって世界のオワリでもなんでもないよな。看板に偽りありJARO。ドニー・ダーコの運命なんてどうでもいいから、死神オババを主人公にして世界を破滅させろと訴えたい。★