NAGISA なぎさ
「NAGISA なぎさ」(2000 日 小沼勝監督)
とつぜんだが私はバカンス映画が好きだ。バカンス映画と聞くと無条件で観たくなる。理由なんてきかないでほしい。べつに水着やパン○ラを期待しているわけではない。いや、水着やパン○ラが重要でないと言っているのではない。ただそれらはあくまで二次的なファクターに過ぎないのであって、あるに越したことはないが別になくてもかまわないという程度のものだということを強調しておきたい。さて、バカンス映画といえばヨーロッパ。すぐに思いつくのは「思春の森」「ビリティス」「セ・ラ・ヴィ」「フランスの思い出」「ジャンヌ・モローの思春期」「海辺のポーリーヌ」「なまいきシャルロット」「さよならモンペール」、近いところで「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「カラスの飼育」などなど、すべてこれヨーロッパ系の作品である。だったらこの手の邦画なんてたぶんつまんないんだろうなあと思って借りたのですが、どっこい予想外の佳品でした。田舎在住のブサめのおてんば娘、大人へのあこがれ、都会から来た病弱な少年やお金持ちのお嬢様との出会い、そして最後にだれかが死ぬという、バカンスもののツボを押さえた心憎い小品だったりします。というかお恥ずかしいことにラストで目からおしっこが出てとまらなくなってしまいました。いやー、ひろし君が不憫で不憫で。でも、あんな最高の夏の思い出ができたんだからホントに幸せな野郎だと思います。死んじゃったけど。なぎさ役の子が美少女でないところがよかった。せいいっぱい背伸びしてる感じがとてもかわいらしい。時制が閉じていてノスタルジックに完結している点もわたくし好みでした。全体的に牧歌的で微笑ましいのは、60年代という時代のなせるわざでしょうか。パーマのエピソードの切なさなんて時代設定が現在だったらとても成立しないかもしれませんね。そんな失われた時代の空気を焼きつけた点も含めて、なかなかの良作と言えるでしょう。というわけで、この作品を観たけどいまいちだったというアナタ。あああ、ひょ、ひょっとしてスクール水着を目当てに借りられたのでしょうか!?。お察し申し上げます。★1/2