ジョゼと虎と魚たち
「ジョゼと虎と魚たち」(2003 日 犬童一心監督)
正直お話としてはどうでもいいようなものでしたが、とにもかくにもジョゼがエロい。乳母車を押す乞食のような老婆、包丁を振り回す足萎え少女という導入からして秀逸で、ストーリーそっちのけで無表情の毒舌美少女ジョゼたんに目が釘付けになってしまいました。ジョゼの言う「この世で一番エッチなこと」はいまいち不明だったが、この映画で一番エッチなのは間違いなくジョゼの存在そのものであろう。それにしてもまあよくもこんないやらしい設定を考えたものである。ビンボー長屋で素性の知れぬ老婆とひきこもり生活、「こわれもん」として世間から隔離され、学校も行かずに拾ってきた本を押入れで読みふける足の不自由な少女。この設定だけでも充分にいやらしく、観客のサディスティックな衝動をくすぐるのだが、かてて加えてジョゼたん本人もめっぽうスケベなのであった。世間にこそ疎いものの、エロ本から得た知識だけは豊富なので頭のなかはいやらしい妄想であふれているのだ。けしからん!もっとだ、もっとおちぶれろハァハァ、という観客の期待に応えてさらにエロ度は加速、予想を超えたあれやこれやの悩殺ショットが繰り出される始末。すばらしい。池脇○鶴よ、それでこそ「ほんまもん」や!ふだんDVDのオーディオコメンタリーなど目もくれない私ですが、この映画のいやらしいシーンのちーちゃんのコメントだけはしっかりチェックしてしまいましたね(つまんなかったけど)。というわけである意味ジョゼというキャラの一人勝ちのような映画でしたが、いちおう難癖もつけておきますと、全体的にトーンが明るすぎる。せっかく設定が悲惨なのだから、もっと陰湿ドロドロにキメてほしかった。ジョゼの乞食ファッションもオシャレすぎて説得力がない。煤けたようなモノトーンでワカメみたいに裾の分岐しているのが私の好みである。あとエロシーンが必要以上に長くて汚いので、ロマンチックなのを期待するとガッカリするかも。そんな感じの映画でした。ところで言い忘れていたが、あのババアはじつにいい。「お父さんのバックドロップ」にも出ていたと思うが、関西弁をあやつる乞食のようなババアを演じさせたら世界一のあのお方は一体どなたなのでしょうか。惚れた。★