ぼくんち
「ぼくんち(MY HOUSE)」(2002 日 阪本順治監督/西原理恵子原作)115分
「軽佻浮薄の時代」 1年2組 瀬戸内寂聴
「ぼくちん」なる映画作品を観る機会を偶さか(たまさか)得たが、ひどかった。一体どうしたらこんなつまらぬものが作れるのかと、あえて屁をこきながら私は問いたい。ぬわにが「ボクらビンボーなんですう!」じゃ。アホか。ぜんぜん貧乏そうに見えない貧乏一家、まったくかわいげのないガキ、汚いだけの言葉遣い、ダサい台詞のオンパレエド、真実味のかけらもない退屈な人間ドラマに欠伸(あくび)と憫笑(びんしょう)と舌打ち(したうち)がとまらなかった。ギャグを意図したとおぼしきシーンも救いがたく寒々しい。いやはや、貧しいのはぼくちんの一家ではなくこの映画そのものだろう。犬にでも撮らせた方がマシとすら思える。唯一魅力的なキャストは関西弁を操る乞食のようなババアdが、マジで誰だよあの婆(こ)。というか途中で殺したらいかんだろう。おまけに観月なんたらいうアイドル女優に放送禁止用語を叫ばせておきながら貧相な片乳のひとつも見せぬとはなんたる自家撞着、過激な言葉や暴力に感傷を振りかけて出せばいいという安直さが透けて見え、昨今の邦画やドラマに蔓延する軽佻浮薄の時代精神を見る思いがした。関係者に猛省を促したい。原作の漫画は読んだことがないので知らないが、連帯責任で原作者にもついでに猛省を促したい。あと、どうでもいいがこの映画、幽霊が映ってた。ξξξ