化粧師
「化粧師(KEWAISHI)」(2001 日 田中光敏監督/石ノ森章太郎原作)
この映画に登場する必要以上にエロい化粧シーンの必殺仕事人のような手さばきを観ていると、私も一度でいいから美少女にケワイとやらをやらかしてみたいものだなどと夢想するのであるが、よく考えるとこの仕事は腐る一歩手前の遺体に死化粧をほどこしたり、醜悪な容姿をそこそこ見れる程度に取り繕うというゲンナリするような作業も含むわけで、そういう意味では柴田理恵を特殊メイクにより絶世の美女に変身させるという趣向を本作に盛り込まなかったのは映画的にきわめて賢明な選択だったと言える。まして本作のポイントは菅野○穂のオテンバぶり(萌えない)にあるわけでも、柴○コウの性悪ビッチぶり(萌えない)にあるわけでもなく、ひたすらコキ使われる下働きの少女を演じる池脇○鶴の小鳩のような可憐さ(萌え萌え)に凝縮されているのであって、奥様にアマガッパを届けるためずぶ濡れになる姿、「字もロクに読めないくせに!」とあき竹城にいじめられながら必死に読み書きを勉強する姿、バラックで汚らしい子供の群れに取り囲まれながら「みにくいアヒルの子」を朗読する姿などなど、なんだかんだでちーちゃんがすべてもっていってしまった感もありますが、「たとえ舞台に立たなくても、女はみんな女優ダス」「心に化粧をするのは貴女自身であるのココロ」といったあまりに恥ずかしくなおかつカッコいい台詞が絶妙のつなぎとなって、最後までニヤニヤしながら真剣に観てしまいました。★1/2