北京原人 Who are you?
「北京原人 Who are you?」(1997 日 佐藤純彌監督)
類猿人を現代に甦らせるという無謀な企画と荒唐無稽を映像化するスタッフの確かな技術が実を結び、全編に巧まざるアホのオーラがみなぎるコメディ大作に仕上がっている。原人一家が誕生した経緯がなんだかサッパリわからないのがおかしい。一見平凡なSFファンタジーを装っているが、ゾウマンモスというネーミングで既にゆるい空気が漂い始め、「時間変異」「空間反転」だのエセ学術用語が飛び交うあたりから雲行きがあやしくなり、やがてこの手の邦画には欠かせない丹波哲郎大明神の「カミ宣言」を皮切りに、本作の暴走ぶりは決定的となる。で、この原人一家がとにかくキショクわるい。科学者のエゴのため囚われの身となり、ところ狭しと暴れ回る原人の表情や動きがヤク中そのもの。とりわけ子供のキショクワルサは常軌を逸していて、子供なのにマッチョで腕毛ボーボー、なおかつチンポコむきだしという豪快さである。大人のほうも胸から下腹、ケツから背中にかけてビッシリ体毛に覆われて、肝心な部分は巧みに隠蔽されているものの、これは間違いなく全裸であると思われる。要するに主要な登場人物がスッパダカという異常な設定の映画を、いい大人が寄ってたかって大真面目に作り上げたわけで、本作のカルト化はあらかじめ宿命づけられていたと言えよう。チンコまるだしの裏ジャケがすべてを物語っていたわけですね。かくて原人一家を載せたゾウマンモスは、制作者の情熱を軽々と踏み倒し、どこともしれぬ荒野の彼方へ失踪するのであった。★1/2