GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」(1995 日 押井守監督/士郎正宗原作)80分
「それを言うならあなたたち人間のDNAもまた自己保存のためのプログラムに過ぎない。生命とは情報の流れの中に生まれた結節点のようなものだ。種としての生命は遺伝子という記憶装置を持ち、人はただ記憶によって個人たりうる。たとえ記憶が幻の同義語であったとしても人は記憶によって生きるもの。コンピュータの普及が記憶の外部化を可能にしたとき、あなたたちはその意味をもっと真剣に考えるべきだった」
説明なしに頻発する特殊用語を始め情報量の多さに面食らいますが、要するにサイバー空間で発生した擬似生命体が変種を生み出すためファックする相手を探していたというような話です。テーマ自体はSFの中で繰り返し現れるもので、テクノロジーの自己暴走と人類への逆襲といった定番的な装いのなかに「わたくしとは何か」という普遍的な問いかけを孕んでいる。確かに情報化社会のなかであたりまえのように擬似現実に身を置くわれわれにとって、自我の所在とありようはつねに自問せざるを得ない問題なのだろう。ピノキオからフランケンシュタイン、人工知能に至るまで人類は自らの似姿、もっと言えば現実そのものを複製し同化しようと過剰な情熱を注いできたが、そこへ近づくに連れてわたくしどもの自我はどんどん希薄なもの、限りなく幽霊(ゴースト)のようなものになっていく。わたくしどもを縛りつづける身体(義体)と精神(ゴースト)の二元論的世界の制約を超えるはずが、進歩する技術の果てにわたくしどもが見出したみすぼらしい新世界、みたいなパラドックスの図式。んまあわたくしどもの意識なんてしょせんウイルスみたいなものだし、おまえもおまえも疑わしいのは今に始まったことじゃないんですが。まあなんにせよ音楽がキモくて心地よいのと、最後の少女人形がエロいです。★1/2