東京ゾンビ
「東京ゾンビ(TOKYO ZOMBIE)」(2005 日 佐藤佐吉監督/花くまゆうさく原作)103分
「ちょっと待って」
「なんだよ!」
「あたしのこと好き?」
「はあ?」
「好きかって聞いてんの」
「おまえこんなときになに言ってんだよ」
「こんなときだから聞いてんだよ」
「いちおう好きだよ」
「いちおう?」
「好きだよ」
「あ、そぉ? じゃあ、フミヨのことは?」
「おまえの十倍好き」
いい感じのひまつぶしになりそうな題材だが、前半はふざけすぎて寒いというか、にやけた脚本と演出のせいでクスリともできない。哀川翔のわざとらしいハゲヅラなど見てるだけでイラつく。哀川翔が死んでからの後半がいい。前半のふざけたトーンから一転、低所得者層の悲哀が色濃くにじみでた家族愛の物語となる。長屋の貧乏所帯の描写がじつに細やかで、粗暴なヨメとの罵りあいや、かわいいが自閉症の娘との断絶など、日常的な場面が滑稽かつシュールに描かれていてとても好感がもてた。★