ラブ・アクチュアリー
「ラブ・アクチュアリー(LOVE ACTUALLY)」(2003 英・米 リチャード・カーティス監督)135分
「いやほう、よいこのみんな。ビリーおじさんからメッセージだ。ヤクは買っちゃだめだぞ。ポップスターになれば、ヤクはただでもらえるからな」
God Only Knows 1ねん1くみ やましろちんご
主要な登場人物が10人を超える映画は作ったらいかんというのがオレの信念。だって、ゾンビなみに無個性な俳優にゾロゾロ出てこられたら数えるだけで疲れるだろ。ゾンビが1匹、ゾンビが2匹、ゾンビが3匹、ゾンビが4匹・・・あれこいつ誰だっけ、さっきのあれと同じやつか? くそ、名前なんかいちいちおぼえてられるか、ええい面倒だ、全員撃ち殺してしまえ! というわけにはいかないところが非ゾンビ映画のやっかいな点だ。それはともかく、なかなか恥ずかしい映画だった。みんなよくこんなの観て赤面せずにいられるなと感心する。確かにいくつか良いエピソードがあるし、笑えるシーンもある。ビリーおじさんとタコの着ぐるみなんか最高だ。だがところどころ直視に耐えないほど恥ずかしいのはなぜか。他者や世界への信頼を基調に、嫌味が発生しない程度のいじらしい恋愛模様を、リアルな下世話も挿入しつつ爽やかに演出する。その無邪気さがどうにもきもちわるいというか。普段きもちわるい映画を専門に観ている立場上、このような恋愛至上主義的傾向を助長する映画を無批判に受け入れるわけにはいかないのである。むしろこの手の映画こそ真にきもちわるく変態的であるとあえて苦言を呈したい。根拠はないがそう言いたい。最後になりましたが、愛だの恋だのマスメディアに洗脳された庶民のみんなは映画館の暗闇を出てそれぞれのしょぼい日常へ戻っていくといいなりよ(笑)。★