少女地獄一九九九
「少女地獄一九九九」(1999 日 山内大輔監督)65分
少女、この陰惨なるもの 1ねん1くみ ひろひと
JVD制作のエログロビデオ作品だが、案外まともな作りで驚いた。巨大キューピー人形を母乳で育てる乞食ババアのシークエンスなど、陰惨のなかに捨てがたい詩情が漂っており悪くない。とりわけ変態に小便を飲み干されたヒロインが放心状態で歩くシーンからラストの首チョンパにかけての凄絶なコントは、「赤い斧」にも通じるチープさゆえの文学的な深みにまで到達している(「お母さん」の連呼で不覚にも涙)。また、はきだめに鶴の感もあるヒロインの女子高生を演じた里見瑶子は一見清楚なルックスと裏腹の異常性を感じさせ、作品のテーマを見事に昇華している。エンディングテーマの「隅田川」を始め不調和を意図した選曲も作り手の素朴な悪意が感じられて好印象。工員風低脳レイパーズの不快さとエロスのかけらもない汚デブのファックシーンさえなければ存外傑作になりえたかもしれない。あ、そう。★1/2