レディ・イン・ザ・ウォーター
「レディ・イン・ザ・ウォーター(LADY IN THE WATER)」(2006 米 M・ナイト・シャマラン監督)110分
"TO MY DAUGHTERS, I'LL TELL YOU THIS STORY ONE MORE TIME. BUT THEN GO TO BED."
映画という形式を借りて無邪気な信仰告白を続けるM・ナイト・シャマラン監督最新作。今回もヰンド人のゆかいな妄想が暴走しており、シャマラン好きにはたまらん感じです。「翼のない天使」「アンブレイカブル」「サイン」といった傑作を観れば明らかだが、シャマラン作品に通底するのは良い意味での幼児性であり、それはそのままおとぎ話のもつプリミティヴな魅力にも通じる。すなわちシンプルで力強い物語、極小による極大の表現=寓話性といった要素だが、その意味で冒頭の古代人の壁画のようなアニメーションはシャマランの世界観を端的に表現していると言えよう。大げさに言えばオープニングだけで映画一本分の価値がある。エンディングの聖歌のようなものも泣けた。大真面目な顔でありえないことをサラリと実現するシャマランこそは現代のイソップなのだと改めて確信した。特筆すべきはブライス・ダラス・ハワードたんの幽霊じみた透明感。アノ世感たっぷりのきもちわるさで、逆にそれがエロかったりもするのだが、「天使とデート」で気色わるい悲鳴を上げていたエマニュエル・ベアールを思い出しました。あと、シャマラン本人がオットコマエのインド人役で登場しているのが笑える。★