HOUSE OF BLOOD ハウス・オブ・ブラッド
「HOUSE OF BLOOD ハウス・オブ・ブラッド(HOUSE OF BLOOD)」(2006 独 オラフ・イッテンバッハ)105分
「あの時と同じだ。霧に、出口のない道。再び悪夢が。ニーチェは言った。『同じ世界は繰り返される』」
ゲルきち 1ねん1くみ 上原チャクラ
いや、これ楽しいわ。「バーニングムーン」「新ゾンビ」「ビヨンド・ザ・リミット」といった一連のホラー作品によってキチガイ認定されたジャーマンスプラッターの雄、オラフ・イッテンバッハさん*1ですが、なんだかんだでだんだんまともになってきているようですね。と言ってつまらなくなっているわけではなく、今さらながら映画の作り方を学習してきたのかもしれません。冒頭の空撮シーンとかムダに美しいので拍子抜けしました。もちろんミンチになるまで頭蓋を叩き潰すなどの俗悪描写は健在で、オラフ・イッテンバッハの神経がもはや常人にはたどり着けない段階に逝ってしまっているのは明白です。話としては、山奥で隠遁する古典英語を話す吸血ゾンビ一家という秀逸な設定をベースに、事故で護送車がひっくりかえって囚人脱走というループが都合3回起こってて笑えます。前半はちと退屈ですが、後半に登場する囚人の一人がレクター博士ばりのインテリキチガイでおもしろい。景色の美しさにいちいち感動したり、スノビッシュな引用や大仰な賛辞を並べ立てる一方で驚くべき残忍さを発揮する。珍しく会話の妙を楽しめる映画である。★
*1:ユルグ・ブットゲライト、クリストフ・シュリンゲンズィーフ、オラフ・イッテンバッハを併せてゲルマンきちがい三羽烏と呼びます