Dolls ドールズ
「Dolls ドールズ(DOLLS)」(2002 日 北野武監督)113分
「BROTHER」を観てバカヤロウビートてめえ金返せコマネチと思ったが、「つながり乞食」という主題が魅力的だったのでやむを得ず借りた。で、こりゃまた絶望的に退屈な映画ですなあ。いちおう3つのエピソードのオムニバスになっているが、分散させた3つの挿話が収束するわけでもなく、底の浅い「ひげき」を漫然とくっつけた印象が否めない。なんとなく臓物を連想させる運命の赤い紐を引きずる白痴と乞食は最も画にはなるのだろうが、結果的にこれが一番瑕疵(というかわたくしが気に入らないだけだが)が多くてダメだった。あまりにもわかりやすいお膳立はリアルな絵空事を描く前にフィクショナルな現実を意識させる。つながり乞食の死に様までが滑稽で胡散臭いのは、熱く湿った内臓の重量感や陰惨美といった要素が決定的に欠落しているからである。顔を失ったアイドルのエピソードだけよかった。ξ