さびしんぼう
雨にも負けず
風もないのにぶうらぶら
雪にも夏の暑さにもぶうらぶら
じょうぶなキンタマを持ち
東に病気のキンタマあれば行ってぶうらぶうらしてやり
西に疲れた母あれば行ってそのキンタマを負い
寒さの夏はぶうらぶうら歩き
みんなにキンタマと呼ばれ
褒められもせず苦にもされず
そういうキンタマに私はなりたい
「さびしんぼう」(1985 日 大林宣彦監督/山中恒『なんだかへんて子』)112分
(あらすじ)
坊主修行中の高校生のもとにマルセル・マルソーみたいな謎の白塗り美少女《さびしんぼう》が現れる。果たしてその正体とは!?
(かんそう)
「ねらわれた学園」「時をかける少女」とたてつづけにわたくしを悶絶させてくれた大林監督ですが、これは別の意味で悶絶ものですね。ショパンの「別れの曲」と尾美としのりのきもちわるいナレーションで始まる本作は、微妙なドタバタシークエンスや藤田弓子のシミーズシークエンスなどをまじえつつ次第に羞恥プレイのごとき様相を呈していき、いたたまれなさのボルテージが針を振り切ったままクライマックスへ突入、ラストにいたっては嬉々としてさらけだされた大林監督の恥部を覗き見たかのような猥褻なキモチになりました。尾道三部作の完結編でもある本作だが、尾道の古風な街並ですら本作のきもちわるさを吸収することは難しかったようだ。★