クロスファイア
「クロスファイア(PYROKINESIS)」(2000 日 金子修介監督/宮部みゆき原作)115分
魔法少女ものが一種のハイファンタジーだとすると、超能力少女ものはまさに悲劇。じっさい本作によく似たモチーフ(超能力+少女+炎)を持つ「炎の少女チャーリー」「キャリー」はともにヒロインがとてもかわいそうな目に遭っていて興奮する。したがって本作は超能力ゆえの孤独、バケモノとして迫害されるかわいそうな少女に萌えたいわたくしども変態のツボを押さえた題材といえ、おもしろくならないわけがないのである。しかしながら、この映画からわたくしが強く感じたのは《猿芝居》という言葉だった。画面から切迫感や真剣さ(リアリティ)が感じられず、台詞過剰の脚本が猿芝居度をさらに過剰にあおっているという印象を受けた。また、阿呆がさくさく死んでいくのは壮観だが、いかんせん絵に描いたような無軌道な若者や悪い大人がアホすぎて却ってリアリティを損なっている。本作でもっとも評価できるのはキャスティング。当時美少女と言ってもよかった長澤まさみや、スグ殺される役の浜丘麻矢など、少女好きの金子監督らしい趣味が反映されたキャスティングがすばらしい。矢田亜希子も黙っていたら美人だね。ラストは霊魂の存在を示唆しているのだろうか。意味がよくわからなかった。ところで国産の超能力少女ものとしては、昔読んだ和田慎二の『超少女明日香』という漫画がすごくエロかったので、ああいうのをバンバン映像化してもらいたい。超能力少女漫画はわたくしの心の原点です。★