Grand-Guignol K.K.K

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2001年宇宙の旅

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「2001年宇宙の旅(2001: A SPACE ODYSSEY)」(1968 米・英 スタンリー・キューブリック監督)
こわいこわい。なんでしょうねこれ。たしかに通して観るには退屈な映画ですが、とりあえず「木星と無限の彼方」(JUPITER AND BEYOND THE INFINITE)の23分間がこわすぎる。この最終章を構成しているトリップ映像と幽霊ヴォイス*1はいやらしいぐらいこわいですね。一体何が起こっているのかはよくわかりません。しかし、われわれの理解を超えた異常な何かを体験しているということは理解できる。永劫回帰がなんたらいう原作の解釈もここではなんの役にも立ちません。気休め的な架空の理屈よりも目の前に存在する恐怖の方がリアルだからです。恐怖とは言い換えれば「理解を超えたもの=なんだかよくわからないもの」に他なりません。たとえば無限とか永遠といった抽象概念をわれわれは理解しているつもりでいますが、それを具体的に敷衍しようとすると底抜けの恐怖が待っています。その恐怖に耐え切れなくなったとき、われわれは発狂するしかありません(その証拠に、絶対とか永遠とかいう言葉を臆面もなく用いる人はたいてい気が触れています)。人類という狂った猿が進化の果てに足を踏み入れた無限の世界。その彼方に待ち受けているのは恐怖そのものであった。恐怖を克服するために築かれた人類の文明の末路がそれだとすればなんとも皮肉です。

*1:Gyorgy Ligeti"Requiem""Atmospheres"