エンゼル・ハート/フィオナの海
「エンゼル・ハート(ANGEL HEART)」(1987 米 アラン・パーカー監督) 再見
謎解きという観点でみると、細かい部分の辻褄が合わないし、合わせられないこともないけど、むりやり鋳型にはめこまれるような居心地の悪さがある。真剣に考えるほど腑に落ちず、気が狂いそうになるという困った映画である。が、こけおどし全開の効果音や指差す赤ん坊、エレベーターの格子戸の影などなど、この作品を彩る禍々しいアイテムはじつに心地よい。「ローズマリーの赤ちゃん」と並んで観るたびに評価が上がる映画のひとつである。ただしあの長いエロシーンはエグくて退いた。
「The Secret of Roan Inish」(1994 USA Directed by John Sayles)邦題「フィオナの海」再見
母親を失いやつれていたフィオナは、都会を離れて祖父母のもとに預けられることになった。そこで彼女は、三年前に一家がローン・イニッシュ島を出る際、ゆりかごボートに乗ったまま沖に流された弟がアザラシによって育てられて生きているという噂を聞きつける。。。美しくも過酷な大自然、母親を亡くした少女、人間的な意思をもった動物たち、とこれだけメルヘンチックなお膳立てがそろえば奇妙な感動すらおぼえるというものだ。カモメとアザラシに守られて海原を漂うゆりかごのイメージは詩的で美しく、なおかつユーモラス。非常にどつぼな世界です。そして音楽。アイルランド民謡風の音楽が映像とじつによくマッチしていて感心させられた。ぞくっとするほど美しいオープニングテーマと可愛いらしいエンディングテーマが見事に作品のイメージを形づくっている。ジャケットもいい。泳ぐアザラシ、遠くをみつめるアザラシ、見返りアザラシ。。。ありがとうセイルズたん。