リリス
「LILITH」(1964 USA Directed by Robert Rossen)邦題「リリス」Region 1,2,3,4 日本語/英語字幕あり
狂気と呼ぶには明晰すぎ、魔性と呼ぶには繊細すぎる、サイコ美女の虜になった主人公がさまよう危うい世界。あっちとこっちの境界に立っていると、ついつい患者の精神世界にとりこまれるというケースは実際にあるようです。印象的なオープニングと連動して、クモを人工的にスキゾにすると歪んだ巣を張るという話がショッキングだったので、本当はもう少し悪女系かサイコホラー系のノリになるかと思ったが、これは主人公の苦悩と動揺をそのまま描きだしている。中盤がひどく退屈なのと見たくないえろしーんがあるというのが不満要素ですが、クライマックスの息苦しい手ブレカメラと救いようのない結末は心胆寒からしめるものがある。ミイラ獲りがミイラになるという話ではサミュエル・フラー監督の「ショック集団」が有名ですね。面白い作品だったのでもう一度観たい(多分押し入れのなか)。そういえばキャサリン・ヘップバーン主演の「去年の夏、突然に」という凄まじいけどワケのわからない映画があったが、あれは一体どういう話だったのか。★1/2