名もなきアフリカの地で
「名もなきアフリカの地で(NIRGENDWO IN AFRIKA)」(2001 独 カロリーヌ・リンク監督)
ハルストレムでない方の「ショコラ(CHOCOLAT)」(1988 仏 クレール・ドニ監督)という地味ながら印象的な映画があったが、ちょうどあれを思わせる。というかそっくりだな。退屈なまでにひたすら淡々と描きつつ、最後にさざ波のような静かな感動を誘う作品だ。とりわけ料理人のオウアとユダヤ人夫婦の娘レギーナ、ケニアの半裸の子供たちとの交流が楽しい。レギーナが嫌味のないすごくいい子で、悲愴な背景の物語に温かい灯をともしている。で、やはりアフリカはエロい。裸、踊り、血と生贄の儀式、タムタム、狂乱、陶酔、恍惚、宗教的法悦、怪しい神々、大自然との交感。幼なじみのケニア人少年と再会し、木に登ろうと誘われるレギーナ。「汚れるから服を脱げ」「もう子供じゃないから胸は見せないわ」と言いつつ遠目のショットでロリ狙い撃ち(笑)。まあそれはいいんだが。監督は「点子ちゃんとアントン」「ビヨンド・サイレンス」のカロリーヌ・リンク。傑作とまでは言えないものの水準以上の作品を撮る監督である。あとこれは余計なお世話かも知れないが、良質の作品なのだからやはり名もなきオバサンのエロシーンは不要だと思うのである。★1/2