マニアック2000
「マニアック2000(TWO THOUSAND MANIACS!)」(1964 米 ハーシェル・ゴードン・ルイス監督)(ビデオ旧題「2000人の狂人」)
「2000人の狂人」という素晴らしい邦題がついているのに、こんなダサいのに改題されたんじゃ買う気しないよなあと思っていたのだが、結局買ってしまった。ロバート・ブロックの「気ちがい」も「サイコ」で定着したので、いずれさほど違和感なくなるのだろうか。はあ。さて、ルイス作品は監督が八面六臂の活躍をしているだけあってどれもこれも死にたくなるぐらいチープなのだが、これだけはアメリカの病的な部分をうまく生かした傑作で、気むずかしいホラーきちがいも失禁して喜ぶ内容になっている。で、観なおした。お出迎えシーンがすばらしいですね。百年祭を迎えてキチガイ村は大騒ぎ、ひゃっほーい、ひょっほーいとバンジョーかきならし輪縄をもった子供やらが大はしゃぎである。そして満面の笑顔で旅行者を血祭りにあげていくのだが、この病的な明るさはアメリカ固有のもので、杉沢村ではとてもこうはいかないだろう。ドラマ部分は退屈というかウンコだが、ゴア描写にかけてはルイス監督は天才的である。冴えまくっている。ひきずられる肉塊の静止画像にギターをかぶせる演出なんてなにげないようで、狂気と正気の分界点を見事に描いている。村人が「素」に戻る姿が素敵ですね。まあゴアといっても比較的ソフトで笑えるし、グロいのが苦手な人にもお勧めできます。しかしあんな巨大岩をどうやってあんな不安定な場所にあげたんだろう。すごい技術力だ。恐るべしプレザント・ヴァレー。