テルミン
「テルミン(THEREMIN)」(1993 米 スティーヴン・M・マーティン監督)
眠い。ドキュメンタリー映画なのではっきり言っておもしろくはない。というかテルミンの音や演奏スタイルのインパクト、埋もれた歴史の面白さが先行しているので映画単体としてはどうでもいいんですね。なにしろテルミンの音がきもちわるい。虫の羽音のような幽霊の悲鳴のような怪音波で、聴いたことはないが霊界からの音楽を連想させる。人体に感応して作動するところがプランセットに似ているし、ロシアは超心理学研究も盛んなのでそういうあやしげな想像を広げたくなりますね。で、構造はすごく単純そうなのに、音の出る原理がなんだかよくわからないというところがなおさら謎めいている。そういうわけで、1950〜60年代にテルミンを効果音に使ったSF映画がたくさん作られたことやロックにも影響を与えていることなど知られざるテルミンの歴史が順次紐解かれていく。ブライアン・ウィルソンはおもしろかったですね。「♪I'm pickin' up good vibrations〜」のくだりにテルミンが使われているそうですが、この人もテルミンに負けず劣らず常に脱線しそうな危うさがあります。後半は発明者のおじいさん(レフ・セルゲイヴィッチ・テルミン博士)がずっと映ってたような気がしますが、半分寝てたので憶えていません。★