ラストコンサート
「ラストコンサート(DEDICATO A UNA STELLA)」(1976 伊・日 ルイジ・コッツィ監督)
一部マニアの間で絶大な人気を誇る作品。先行して発売されたステルヴィオ・チプリアーニのサントラが気に入ったので買ったのですが、評判にたがわずものすごいコテコテの純愛映画でした。クサイといった方が正確なのかもしれませんが、ここまでやればもはや立派に様式美なのでしょう。難病少女の淡い願望とくたびれた中年オヤジの人生の再生が瑞々しい映像美とともに描かれていて、素直な目で観ればこれは感涙もののお話ですね。ヒロインが美少女でないのが最大の難点ですが、この作品の場合はテーマが純愛なので犯罪性を薄める意味でも正解なんでしょうね。食人監督ルッジェロ・デオダートの「フィーリング・ラブ」日本語吹き替え版(これも名曲つき)で笑い転げた人非人の私が言うのもおこがましいですが、このまえ「案山子男」を酔って観て号泣した経験から申せば、事前にアルコールなどで脳を鈍らせておくと気持ちよく感動できるかもしれませんよ。あと余談になりますが、日本語吹き替えがTV放映版と新録版の二種類収録されていて、TV放映版のステラ役の横沢啓子さんが本当に素晴らしいです。新録版ではステラの声を上野樹里ちゃんがあてていて、上野樹里ちゃんが何者なのかは寡聞にして知りませんが、常軌を逸した素人ぶりが微笑ましかったです。★1/2