赤い影
「Don't Look Now」(1973 UK/ITA Directed by Nicolas Roeg) 邦題「赤い影」Region1 Closed-Captioned
とうとう邦盤が出るようなので、ひさしぶりに引っ張りだして観ました。あー、やはりこれはいいですね。傑作です。ニコラス・ローグのなかでは解りやすいし、どんぴしゃな邦題もすばらしいですね。なにがいいかと言われると困るのだが、まず主人公が喪失感をずるずる引きずってる感じがたまらない。全編に張り詰めた静かな悲しみとモザイク状に散りばめられた鮮烈な赤。ピノ・ドナジオの情感たっぷりのスコア。そして何かの啓示のようにベニスの街をうろちょろと見え隠れする赤い影。結局あれは何を象徴しているのか、という安易な解釈を寄せ付けないし、シュールな深読みの余地を残しつつ鳥肌ものの余韻を放っています。アルフレッド・ソールの傑作「アリス・スイート・アリス」はもちろん、「ザ・ブルード」「フェノミナ」にもまんま影響を与えているんでしょうね。