Grand-Guignol K.K.K

The half of this site consists of gentleness. The other half of this site consists of lie. Sorry, this is all shit in the end. Here is MATERIAL EVIDENCE: (^ ^)ノヽξ

放送


青森県からお越しの猫山さま。妹さまが、カバンのなかで冷たくなっておられます。青森県からお越しの猫山さま……」
通りを歩いていると、おれの名を呼ぶアナウンスが入った。なんでこんなところでアナウンスが入るのだろう。さっぱり分からなかった。それにしても変なアナウンスだった。おれの妹がカバンのなかで冷たくなっているとは、いったいどういうことだ。
そのとき、かたわらを太った男が通りすぎた。男の持っている大きなカバンを見ておれは胆をつぶした。半開きになったジッパーの隙間から、白い手がにゅっと突きだしていたのだ。ははあ、これか。カバンのなかで冷たくなっているとは、このことに違いない。おれはあわてて男に駆けより、カバンの把手を強引につかんでこう叫んだ。
「これはわたしの妹だ。返してください」
おれはカバンを無理やり奪いとった。男は顔色を変えて必死に抵抗した。
「なにをするんです、わたしのカバンですよ!」
おれも負けなかった。
「これはわたしの妹なんです。わたしの……」
そこまで言っておれはハッと気づいた。よく考えると、おれには妹などいない。
ぼんやりと手にもったカバンを見おろすと、突きでた白い手がおれのサイフをしっかりつかんでいた。
というをみました。