チェブラーシカ
「あげるよ、連れてって」
「この子、カエルだね」
「そう、緑色のね」
「ありがとう。でも、好きなところに行かせてあげよう。さ、ぴょんぴょん跳ねて」
「チェブラーシカ(CHEBYPAWKA)」(1969〜1974 露 ロマン・カチャーノフ監督)
暗い(笑)。ロシアらしく良い感じに暗い。好きだ(笑)。アメコミの乾いた陽気さとは無縁である。鈍色に閉ざされたロシアの空の下、寒色を基調とした背景と哀感に満ちたアコーディオンの音色が効果的。疎外感だとか裏切りだとか環境汚染だとか、気が滅入るようなテーマを扱いながらも、ほのぼのとユーモラスかつ哀愁たっぷりにまとめるあたりがロシアならでは。アップで見るとチェブラーシカが意外と剛毛で小汚いのもロシアっぽくて素敵です。名前の意味が「ばったり倒れやさん」というのもかわいい。シャパクリャクばあさんの行動原理が最後までよくわからなかったが、なんかおもしろかった。あと、大谷育江さんの力をぬいた日本語吹き替えが本当に素晴らしい。★★