運動靴と赤い金魚
「こんな汚い靴、履くの恥ずかしい。この靴、やだ!お兄ちゃんのせいよ」
「運動靴と赤い金魚(BACHEHA-YE ASEMAN/CHILDREN OF HEAVEN)」(1997 イラン マジッド・マジディ監督)
これはまたよくできた小話ですね。O・ヘンリーかと思ってしまいました(笑)。ちょっと展開は退屈な気もしますが、これほどたわいない日常のひとコマから魅力的な小品をひねりだすマジディ師の策士ぶりもなかなか堂に入ったものです。明らかにこの人は、印象的なラストシーンを作り出すのが非常に巧い。イスラームな世界の日常を舞台に、こんな詩的情緒あふれるとっておきのラストを見せられると、凡百の作品ではとても太刀打ちできないような気がしてきますね。素朴きわまるだけに。あと、イランの監督さんたちは例によって子供(とりわけ少女)の使い方を本当によく心得ています(笑)。★1/2