少女の髪どめ
「少女の髪どめ(BARAN)」(2001 イラン マジッド・マジディ監督)
前作、前々作と、もはや申し開きのできない程度に少女好きであることを明かしてしまったマジマジ師匠は、ついに開き直ってこんな映画を作ってしまいました!というのは下種の勘ぐりである。これは純愛ですらない、純愛以前の究極のプラトニズムを描いた渋すぎる小品。私がイラン映画を好ましく思う理由のひとつは露骨な描写がないため誰もが安心して観れるという点にあり、本作も抑制しきった寡黙な映像のなかに、あるかなしかの瞬間的なエロスが仄かに香る程度でじつに奥ゆかしい。ただ、愛がエロを超えることを証明したかったのでしょうが、マジたんからのあまりに生真面目な直球メッセージに引いてしまうと同時に、フィクションという観点からは、あの繊細にすぎるラストシーンは物足りなさが先行し、「ありえねー」といささか冷ややかに見てしまいました。もっとも、例のいやらしい純愛ブームとやらに便乗しつつ「ありえねー」とうそぶいているジャップどもにはこれぐらいの生真面目さがふさわしいかもしれませんね。★