聖処女
「♪とぅーとぅーぽましぇりーまーしぇーり」
「アナタハドナタ?」
「私は、<無原罪の御宿り>です」
「聖処女(THE SONG OF BERNADETTE)」(1943 米 ヘンリー・キング監督)
金曜日のゴールデンタイムに細木ババアが「せんずり」を連呼*1して全国のお茶の間を凍りつかせていたまさにその頃、私はこんな映画を観て凍りついておりました。オカルト本には必ず載っている「ルルドの泉」の実話に基づいて作られた映画ですが、これは怖い。戦慄の宗教ホラーである。とりあえず無駄に長いのが最大の難点ですが、ベルナデッタの末路も含めて、なんか肌に粟を生ずべき感覚があった。「信じようと信じまいと」理解を超えた未知の現象というのは、神秘というよりも恐怖の対象に近い。だからこそ人間は信仰にすがるのだろう。カトリックでは恐らく常識なのだろうが、「無原罪の御宿り(the Immaculate Conception)」という訳語がじつに禍々しくて恐ろしかった。そもそもこの映画の真剣さがなんとも理解不能で恐ろしく、私にとっては福来友吉博士の『透視と念写』を読んで以来のトラウマになってしまいました。★
*1:2005/5/20放送『幸せって何だっけ』