銀河
「地上に平和をもたらすため私が来たと思うな。剣を投げ込むためだ。子を父母と、嫁をしゅうとめと、仲たがいさせるためだ。そして家の者たちが互いに敵となるであろう」
「銀河(LA VOIE LACTEE)」(1968 仏・伊 ルイス・ブニュエル監督)
銀河と呼ばれるスペインへの巡礼の道のりをたどる乞食二人の珍道中。こっちでは宗教をネタにゆるさと毒気が絶妙にブレンドされていて、随所にブニュエル的なほくそ笑みが看て取れる。逆にこんなパッチワークのような作品を通して観ることに意味はなく、ピンポイントで観るとじつに楽しい。とくに美少女がずらりと舞台に並んでそれぞれ異教的言説を呪うシーン。
「キリスト教徒も多くの妻を持てるとか一夫多妻は律法に触れぬとか説く者には呪いあれ」
「ミサに犠牲を捧げることが、十字架上の犠牲への冒涜だと言う者には呪いあれ」
「義人とされ恩寵に浴する人にさえ十戒は守れぬと言う人がいたら呪いあれ」
「神は生まれたばかりの子供をお憎みになり原罪によって罰したまうと言う者がいたら呪いあれ」
「神が我らに与えたまうた肉を汚れたものとし、禁欲のためでなくても食べないという者には呪いあれ」
思わず呪われたいと思わせる素晴らしいシーンである。★1/2