笑む窓のある家
「The House with Laughing Windows(La Casa dalle finestre che ridono)」(1976 ITA Directed by Pupi Avati)Region1 英語字幕あり
コレはいいですね。狂っています。タイトルがいいし、ジャケもカッコいい。「笑む窓」とは一体何なのか。ポオが『アッシャー家の崩壊』で「眼のような窓」という比喩を多用していて面白かったが、これは本当にそのまんまなので笑った。家ものホラーの系譜でもあり、それ自体意志をもつかのような擬人化された廃屋というのはやはり魅力的だ。冒頭からイカレタ残酷シーン(吊るされた男がナイフでサクサク刺されながら何度も絶叫)で始まり、尋常でない雰囲気がまきちらされる。教会に残された謎のフレスコ画、自殺したキチガイ画家とその二人の姉、挙動不審な村人たち。いかにもジャーロらしいアイテムを劇中に点綴しつつ謎の追求がメインになるものの、挿入されるキチガイ映像が面白く、適切にミスティフィケーションが施されているので退屈しない。裸婦像に自分の顔を描く画家の倒錯ぶりがいい。アルジェントの「歓びの毒牙」に登場する猫食いの変態画家を髣髴させるが、あれはアルジェント本人であっても差し支えない。途中で死んじゃうけどフランチェスカ・マルチャーノも可愛い。でまああらゆる要素がねじれたままラストに突入するのだが、この救いのカケラもない結末は爆笑もの。明るい教会内を広角でとらえたショットの歪んだ構図がじつにおぞましい。★★