blue
「私、遠藤になれるんだったら、なりたいよ」
「へー、どうして。つまんないよ。なってみたらがっかりするよ」
「blue」(2001 日 安藤尋監督)116分
ブサイク系、エロなし。BGMもほとんどなく、女子高生のどうでもいい雑談や、暗い対話で構成されているだけの作品だが、少しも退屈しなかった。日本版「ショー・ミー・ラヴ」とも呼べる切ない青春映画。自堕落な感傷や退廃が問題なのではない。そんなものは現実にいくらでも転がっている。引きぎみのカメラに収められた空と海の遠景、それがすべてだ。空と溶けあい濃紺に輝く海。手を繋いで駆け出す二匹の少女。ラストの青。誰も手が届かないその深さ。これ以上なにが必要であろうか。たとえ腐っていても、生きている方がいいのかもしれない。絵に描いた餅でもかまわない、希望のある方がいい。われながら白々しいとは思うが、そう思った。心が弱っているのかもしれなかった。★★