レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語
「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(LEMONY SNICKET'S A SERIES OF UNFORTUNATE EVENTS)」(2004 米 ブラッド・シルバーリング監督)109分
ダメな映画を言下にこきおろすのはたやすい。だから俺もよくそうするのだが、これまたどうにもこうにもなまぬるいオコチャマ映画。設定が「屋根裏部屋の花たち」を思わせるので期待したのだが、子供たちが知恵と勇気で窮地を脱するだけの平凡な冒険ファンタジーだった。ファンタジーはいいとして、発明好きの姉という設定はほとんど生かされず(郵便受け装置はかっこよかったが)、本ばかり読んでいる弟もカミツキガメの妹もまったく役に立っていないのは脚本以前の問題である。ブラックコメディとしても中途半端。あと、劇中にしょっちゅう作者が顔を出すのがうざい。「観ない方がいい」とか「アニメでも観てろ」とかさんざん煽っておきながらこの程度では、看板倒れといわれても仕方あるまい。せっかく他人の不幸を目当てにやって来た人たちに失礼である。本当の不幸とは、着るものも食べるものもなく知識も知恵もなく孤立無援で観客が悲鳴をあげるぐらい悲惨なものだ。レモニー・スニケトッが何者かは知らないが、エドワード・ゴーリーの『不幸な子供』でも読んで勉強してほしい。★+ξ