ケルトのバグパイプ
「ケルトのバグパイプ(LA ZAMPOGNA IN EUROPA/THE BAGPIPE IN EUROPE)」(1972 伊)
買った。ジャケのオヤジにときめいたわけではない。フィドル、アコーディオン、アコギ、フルートなど民俗音楽の魅力的なアイテムは数あれど、バグパイプの音色はダントツで悲しい、そしておかしい。これはイタリアのフォルクローレ専門レーベルアルバトロス社からの復刻盤で、ヨーロッパのいろんな地方(アイルランド、仏ブルターニュ、西ガリシア、英スコットランド)のバグパイプの演奏を集めたアルバムである。オリジナルタイトルのツァンポーニャはイタリア語でバグパイプの意味。バグパイプというとスカートをはいたスコットランド人を連想するが、ハイランドパイプだけがバグパイプではない。そもそもケルト音楽などとひと括りにされるがそのふところは広く深いし歴史も古いのだ。ピブロック(ハイランドパイプで演奏される長い曲)の代表曲「Mackintosh's Lament」なんか時代でいうとバロック期以前に作られた曲なんだよね。ちょっと前に癒し系の代表みたいに言われていたエンヤとかはどちらかというと邪道な方である。ということをワシも最近知った。必ずしも哀愁バリバリのメロディーというわけでもないのに、バグパイプ特有の重層的な音色が途切れ目なしに唸ると、泣きそうな気分になってきて、しかも心地良い脱力感をともなう。「SF/ボディ・スナッチャー」「トマシーナの三つの生命」「ひみつの花園」などバグパイプをうまくとりこんだ映画が魅力的なのは、その音楽の本質と決して無縁ではないでしょう。★1/2