誘拐報道
「誘拐報道」(1982 日 伊藤俊也監督)134分
「うち・・・お父ちゃんすきや!」
高橋かおりが誘拐される話だと勝手に勘違いしていましたが、誘拐犯の娘の役です。で、誘拐された男の子と仲良しだったという話。無理して娘を名門私立小学校に通わせる貧乏一家、という物語の背景がせつないので、共感できてしまえばけっこう楽しく観れると思います(監督は女囚さそりシリーズの伊藤俊也)。冒頭の子供たちが仲直りするまでのシーン、高架下にスローモーションで布袋が舞い落ちるシーン、萩原健一の傍目にも明らかなオーバーアクトとオーバーな音楽がちょっと笑えますが後半の30分の緊迫感が圧巻。夜逃げする母子を迫害するマスコミの正義面と「お父ちゃんすきや!」と泣きながら訴える娘のけなげさ、不幸な女が似合いすぎる小柳ルミ子の熱演も胸を打ちなんともいえない気分になった。エンディングの子供の歌が怖すぎる。エンドマークの背景に涙。★
息をしている(谷川俊太郎 作詞)
風が息をしている 息をしている
やわらかな髪に触れ 湖を波立たせ
風は息をしている
星が息をしている 息をしている
限りなくうずまいて 声もなくまたたいて
星は息をしている 息をしている
生きているすべての命
せめぎあいもとめあい
生きてゆくすべての命
人は息をしている 息をしている
苦しみを吐き出して 悲しみを吸い込んで
人は息をしている