サマータイムマシン・ブルース
「サマータイムマシン・ブルース(SUMMER TIMEMACHINE BLUES)」(2005 日 本広克行監督)107分
かんそうぶん 1年1組 松野行秀
平民階級がみたら喜びそうな律儀なぼけと余計なつっこみを積み重ねる形式の現代の悪しきオワライブンカをとりこみつつ、張りめぐらしたタイムパラドクスはちゃっかり回収するという古典回帰志向を併せもった、良くも悪くも優等生的なSFコメディ。貧乏くさい登場人物の現代的なゆるさとジョージ・パルの「タイムマシン」を髣髴させるタイムマシンのレトロ感覚が同居する空間のねじれ具合を楽しめばいいのだろうが、非現実の破調ないし論理の破綻といったSF本来の破壊力を期待すると少々物足りないし、かかる計算尽くの脱力感と作り込まれた脚本をどうでもいいと思ったり理解するのがめんどくさいと思ったりしてしまう時点で、もはやわたくしのなかにこの手の映画への愛情が残っていないのだという事実を再認識するとともに、これまで散々にこきおろしてきた上野樹里ちよゎんが本作に限っては憎たらしいぐらいキュートであったという不愉快な事実をつけ加えておく。★