六月の蛇
「六月の蛇(A SNAKE OF JUNE)」(2002 日 塚本晋也監督)77分
「俺に生きる希望を湧かしてくれた人だからどんな人かと思ったら、自分のやりたいこともできない頭でっかちじゃないですか。実際のあなたは身近な夫の気持ちに入ることもできない。それでカウンセラーと言えるんですか?」
心の電話相談室で働くりん子は潔癖症の夫と暮らす欲求不満ぎみの人妻。ある日りん子の自慰行為を盗撮した写真が自宅に郵送されてくる。直後に脅迫電話をかけてきた犯人は、先日りん子が応対した自殺志願の男であった。男は写真をタネに数々の屈辱的な行為をりん子に強要、監視されながらの羞恥プレイを遂行するうちに、やがてりん子のなかに奇妙な解放感が芽生えていく・・・。カウンセリングのプロが素人にもてあそばれるという図式は、譬えるならば変質者に寄ってたかって屈辱的なプロファイリングを受けているロバート・けぇ・レスラー氏を想起させなかなか微笑ましいのだが、ただ思ったほど倒錯的な要素はなく、罠に落ちた人妻のノーマルな心理劇という印象を受けました。★