フォーリング・ダウン
「フォーリング・ダウン(FALLING DOWN)」(1993 米 ジョエル・シューマカー監督)118分
おっさんマクドで大暴れ 1ねん1くみ かんだがわとしろう
後半の謎解きがなければ最高の不条理劇。トラヴィス・ビックルが「泳ぐひと」に主演したような、イカレタパワーと理不尽さに満ちちえいます。現代の病んだ世界のなかで、誰もがわけもわからずストレスを募らせているように思います。無意味に楽しそうにしているやつらをブチコロしたくなるのはわたくしだけではないでしょう。実行こそしないだけで、本当は誰もがなにか突発的でシュールな不条理な事件が起きることを期待しているのです(もちろん自分は傍観する立場で!)。しかしあんたらなんかよりいちばん怒っているのはキチガイです。キチガイはみなとても怒っています。たまに電車のなかやバス停のベンチで自分の頭のなかを完全実況中継している方に出くわしますが、あの意味不明のつぶやきのなかにこそ真実が含まれている、とわたくしなどは思ってしまうのですが、それは判官びいきというものでしょうか。この世の理不尽への怒りを体現するマイケル・ダグラスにいやがうえにも期待感が高まります。崩れ落ちるロンドン橋、このキチガイならやってくれそうだ!しかし残念ながら所詮キチガイはただのキチガイであり、抑圧されたものの代弁者ではありませんでした。結果的に彼はトラヴィス・ビックルにはなれませんでしたが、ひさしぶりに大根を片手に目抜き通りへくりだしたい気分になりました。ああ、今日もくそあついざますね。★1/2