小さな悪の華
「DON'T DELIVER US FROM EVIL(MAIS NE NOUS DELIVERZ PAS DU MAL)」(1970 FRA Directed by Joel Seria)邦題「小さな悪の華」Region ALL English-Subtitled
タマラン 泉シゲピヨ
エエのぉ〜、萌え萌え。幻の70年代思春期映画の傑作「小さな悪の華」が待望のDVD化で御座ゐます(ジャケがダサい!)。性と死の均衡(「思春の森」)、男性性への嘲弄と虐待(「メイク・アップ」)、カトリシズムへの冒涜(「アリス・スイート・アリス」)といった思春期ホラーの要素をまじえつつ、無邪気でダークな妄想世界に遊ぶ二匹の少女が、暗黒の深淵へと滑り落ちてゆく様を描いた作品。全編を覆う物悲しくも狂おしい調べがタマラン!1954年にニュージーランドで起きた実際の事件を元にしたプロットは、同じ事件に取材した「乙女の祈り」そのものと言ってよいが、本作の少女たちはあくまで可愛いらしくそして残酷。彼女たちの残酷さが何に由来するのか、悪魔崇拝に魅入られた経緯はまったく説明されない。ミスチフィカショーンの意匠をまといつつミニスカ、パン○ラ、下着姿で誘惑するフレンチ・ロリータの魔力に誰が抗することができましょうか。スロー再生で何度も確認したスケスケのネグリジェーの下に、聖性と同時に小ぶりのパイオツを見てしまうわたくしはいいかげん死んだ方がよいのかもしれませんが、大人であれば「馬鹿の衝動殺人」で片付けられるものが、なぜ思春期にある彼女たちに限って魅了されるのか、それは彼女たちが美しいからであります。地獄の業火のなかですら、彼女たちは美しい(その罪深さゆえに!)。本作が当時フランスで上映禁止となったのは、触れてはならぬ禁断の本質に触れているからかもしれません。少女の姿をした小悪魔たちは可憐な瞳でわたくしどもをたぶらかしながら、背中に隠し持った斧で虎視眈々と脳天を狙ってゐるので御座ゐます。★★1/2